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Microsoft、自社AIチップ「Azure Maia」を2027年から複数ギガワット規模で展開へ

Microsoft、自社AIチップ「Azure Maia」を2027年から複数ギガワット規模で展開へ

Microsoftは、自社設計のAIチップ「Azure Maia」を2027年から複数ギガワット規模で展開する計画を明らかにしました。製品全体の主要な推論基盤に据える方針で、幹部のScott Guthrie氏が公表しています。すでにMaia 200は米国、欧州、オーストラリアでMicrosoft Copilotを動かしており、GitHub CopilotとFoundryにも年内に広げる予定です。

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AIを動かす基盤を自社で握るという選択

AIの話題といえば、どのモデルが賢いかに注目が集まりがちです。ただ、利用者が増えるほど、回答を一つひとつ生み出すための計算量も膨らんでいきます。この「推論」と呼ばれる処理を、誰のどんな装置で、どれだけの電力で回すのか。今回の発表は、その土台の部分に踏み込んだものです。

Microsoftは、Maiaを複数ギガワット規模で2027年から展開し、自社製品の主要な推論システムにするとしています。CEOのSatya Nadella氏はこれを「自社シリコンへのこれまでで最大の賭け」と表現したと伝えられています。外部から調達するチップに頼るだけでなく、設計から運用まで自社のクラウド戦略に組み込む姿勢がうかがえます。

注目したいのは、Maiaが扱うモデルの幅です。OpenAIのモデルに加え、Microsoft自身のMAIシリーズ、さらにオープンソースのモデルまで動かすと説明されています。特定のモデルに寄せた専用機というより、Azure上で使われる多様なAIを受け止める汎用的な推論基盤を目指していると読めます。

現在地はMaia 200、すでにCopilotが動いている

計画だけが先行しているわけではありません。Maia 200はすでに米国、欧州、オーストラリアでMicrosoft Copilotを稼働させています。GitHub CopilotとFoundryも、年内に対応が進むとされています。

Microsoftは、Teamsにおいて主要なGPUよりワット当たり最大1.7倍のトークンを処理できると説明しています。トークンとは、AIが文章を扱う際の最小単位のようなものです。電力あたりの処理量が上がれば、同じ設備でより多くの利用者をさばけるため、運用コストにも直結します。ただしこの数値はMicrosoft側の説明であり、比較対象や測定条件の詳細は、公開された範囲では確認できていません。

Maia 300が狙う長い入力とAIエージェント

後継のMaia 300は2027年の出荷予定です。想定する用途は、長い入力の処理、素早い対話、そしてエージェント型のタスクです。エージェントとは、利用者の指示を受けて複数の手順を自律的にこなすAIのこと。一度の依頼で何度もモデルを呼び出すため、従来の対話より計算の需要が大きくなりやすい用途です。

チップの仕様も公表されています。1チップにHBM4メモリを8スタック搭載し、合計容量は288GB、帯域幅は毎秒18TB、定格消費電力は950ワットです。HBMとはAI向けに使われる高速メモリのことで、大きなモデルや長い文脈を扱うほど、この容量と速度が効いてきます。

性能面では、先行するGPUシステムと比べてメガワット当たりのトークン処理量が40%多いとMicrosoftは主張しています。さらに、96チップで構成するラックは、Maia 200のラックと比べて最大7倍のトークンを生成できるとしています。詳細は技術報告書にまとめられており、11月開催のIgnite 2026でも追加の情報が出る予定です。

電力あたりの処理量が競争軸になる理由

今回の発表で目を引くのは、性能の物差しが「速さ」だけでなく、「電力あたりどれだけ処理できるか」に置かれている点です。計画の規模をギガワットという電力の単位で語っていること自体が、その象徴でしょう。データセンターの拡大では、チップの数以上に電力の確保が制約になりつつあります。

電力効率が数十%違えば、同じ電力枠で動かせるAIサービスの量も変わります。自社でチップを設計できれば、自社のサービスに合わせて細かく調整でき、効率の改善幅を広げやすくなります。Microsoftが自前路線を強める理由は、このあたりにありそうです。

一方で、複数ギガワットという表現がチップ自体の消費電力を指すのか、設備全体の容量を指すのかは、公開情報からは読み取れません。実際の導入規模や、各性能値がどのような条件で測られたのかは、Ignite 2026や技術報告書で明らかになる部分でしょう。AIの価値を左右するのは、モデルの賢さだけでなく、それを支える電力と半導体の設計力になっていく。そんな流れを、Maiaの動きは映しています。

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