スタンフォード大学のStanford HAIがまとめたAI Index 2025では、2014年から2024年に発表された注目AIモデルの数を機関別に集計しています。大学ではスタンフォード大学とカーネギーメロン大学(CMU)が各25件、清華大学とカリフォルニア大学バークレー校が各22件、MITが15件でした。
本稿ではこの数字を手がかりにAI研究が盛んな5校を見ていきます。
モデル数は大学選びの答えではない
「AIを学ぶならどの大学か」。進路を考える学生も、人材の採用や共同研究先を探すビジネスパーソンも、一度は気になる問いです。ただ、手に入りやすい数字には落とし穴があります。
今回使う注目AIモデルの数は、研究の場からどれだけ目立つモデルが世に出たかを数えたものです。AIを専攻する学生の人数でも、授業の充実度でもありません。ランキングというより、各校の研究の勢いを眺めるための入口と考えるのが妥当でしょう。
首位で並ぶスタンフォードとCMU
大学機関で最多だったのは、スタンフォード大学とCMUの25件です。2014年から2024年の11年間で、両校ともに25件の注目モデルを送り出した計算になります。
分野の壁を越えるスタンフォード
スタンフォードを語るうえで外せないのが、2019年に設立されたStanford HAIです。AIを人間中心の視点から捉え直すという旗印のもと、複数の学部をまたぐ形で研究を進める学際的な組織として位置づけられています。
AIは、コンピュータサイエンスだけで完結する分野ではなくなりました。医療、法律、経済、倫理と接点が増えるなかで、最初から学部の壁を前提にしない設計は、時代の流れに合っています。
同数で並ぶCMU
CMUもスタンフォードと同じ25件で、モデル数の面では肩を並べます。同数であることは、AI研究の中心がひとつの大学に偏っているわけではないことを示す材料にもなります。
数字の同点は、優劣の決着がついていないというより、方向性の異なる2校が並走していると受け取るほうが実態に近いでしょう。
22件で続く清華大学とバークレー
続くのが、中国の清華大学とアメリカのカリフォルニア大学バークレー校で、どちらも22件です。スタンフォードとCMUとの差は3件にとどまります。
この並びが興味深いのは、上位に米中の大学が顔をそろえている点です。AI研究の主戦場が特定の一国に閉じていないことが、大学単位の数字からも見えてきます。留学先や共同研究の相手を探すときは、国や地域を横断して視野を広げる価値がありそうです。
MITは研究の裾野に注目
MITの注目AIモデル数は15件で、上位4校と比べると数字は控えめです。ただ、研究の広がりを見ると、また別の表情が浮かびます。
MITのコンピュータ科学・人工知能研究所であるCSAILの公式ページには、AI・機械学習の領域として68のプロジェクト、27の研究グループ、111人が掲載されています。機械学習をロボティクスや医療、言語処理といった分野に応用する研究も柱の一つです。
一つの大きなモデルで目立つ道もあれば、多数の研究グループが応用先を広げていく道もあります。モデル数という物差しだけでは、後者の厚みは測りきれません。
数字の先にある選び方
5校を並べてみると、モデル数の差は最大でも10件です。この差で進路を決めるのは、少し乱暴かもしれません。
見比べたいのは、自分がどの分野でAIを使いたいのかという点でしょう。社会との接点を重視するなら学際的な組織を持つ大学、応用先の広さを求めるなら研究グループの多い研究所、といった具合に、数字を入り口にして研究体制へ視線を移すと、大学の見え方は変わってきます。


コメント